くるり

大雨すら味方につける、くるり奇跡のセットリスト
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結局富士山がその全貌を現すことなく、日も暮れ始めた18時。弱い雨が湖畔に降り続く中、くるりのライブが始まろうとしている。メンバーは自らステージ上にあがり、リハーサルを続けている。この夏のくるりのステージは、岸田繁(Vo,G)と佐藤征史(B)のほか、内橋和久(G)、筋肉少女帯でもサポートを務めるエディこと三柴理(Pf)、54-71のボボこと堀川裕之(Dr)の5人体制で展開中。おなじみのナンバーがどんなアレンジで披露されるのか、久しぶりに彼らのステージを観る人は特に楽しみだったことだろう。

彼らのリハーサルを見守るうちに雨は上がった。そして2日間にわたるイベントの、Mt.FUJI STAGEのトリを務める彼らがいよいよ本番をスタート。軽やかなギターのイントロとともに「ロックンロール」が始まる。続いては「ワンダーフォーゲル」。誰もが親しんできた名曲が立て続けに披露され、オーディエンスからは大きな歓声が上がる。くるり最大のアンセムとも言えるこの曲は、エディの流麗なピアノと内橋の個性的なギターソロ、そして佐藤とボボのエディの強力なリズムラインによって新たな色彩を生んでいた。

続いて披露されたのはスローテンポながら重厚なアレンジの新曲。哀愁漂う歌詞をさらに盛り上げるように、夕焼けを思わせるオレンジ色のライトがステージを照らす。さらに次も新曲、まもなくシングルとしてリリースされる「さよならリグレット」では、くるりならではの優しいメロディラインが光る。

そしていつのまにかフィールドは豪雨になっていた。オーディエンスを励ますように岸田は「楽しいか? 雨降っても大丈夫? じゃ今から雨の歌歌ってもっと降らします(笑)」と笑わせて、「ばらの花」を奏で始めた。フィールドは歌詞で描かれた世界よりもはるかに大雨な気もしたが(?)、彼らの生み出す穏やかなハーモニーに自然の演出がひと役買う形となったようだ。

岸田が「あと1曲だけやって帰ります。渾身の1曲でもっと雨を降らせて、お前らを困らせてやる」と憎まれ口を叩いて始まったのは、ラストナンバー「東京」。彼らが全身全霊で演奏する姿からは、自然現象をも凌駕する強い力を感じずにはいられなかった。

岸田の狙い通り(?)さらに強い雨が降り始めた山中湖畔。雨粒の向こうに見えたステージ上の彼らは、いつものライブ以上にたくましく見えた。

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<セットリスト>
M-1.ロックンロール
M-2.ワンダーフォーゲル
M-3.(新曲)
M-4.さよならリグレット
M-5.ばらの花
M-6.東京