SPACE SHOWER TV 25TH ANNIVERSARY SWEET LOVE SHOWER 2014

2014.8.29Fri 8.30Sat 8.31Sun 会場 山梨県 山中湖交流プラザ きらら

LIVE REPORT

andymori

陽もすっかり暮れ、いよいよ「SWEET LOVE SHOWER 2014」の初日最後のアクトを務めるandymoriが登場。2013年9月24日の東京・日本武道館公演をもって解散する予定だったが、小山田壮平(Vo, G)の療養のため解散の日を延期していた彼ら。小山田の復活を機に、今夏イベント出演や単独ライブを行いファンに"別れの挨拶"をしてきた彼らは、ラストライブの場として「SWEET LOVE SHOWER」を選んだ。

サウンドチェックのためにメンバーが現れると、どよめきにも似た歓声があちこちから上がる。観客は3人の一挙一動を見つめ、チェックのために奏でられた「ハッピーエンド」「ボディランゲージ」にじっくりと耳を傾けた。

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19:20を迎え、スクリーンにファイナルアクトとして「andymori」の名前が浮かぶと、びっしりと人で埋め尽くされたフィールドに歓声が沸く。待ち焦がれたファンのために1曲目として届けられたのは「グロリアス軽トラ」。歌詞の一部を「山中湖」に変える遊び心も混ぜ込みつつパフォーマンスされた同曲のあと、一瞬の沈黙が訪れメランコリックな「投げKISSをあげるよ」が披露された。メンバーは穏やかな表情をたたえ、時々お互いにアイコンタクトを取りながら1曲1曲を丁寧に奏でていく。「Peace」で一旦ギアをトップに入れた3人だったが、「1984」で再び柔らかな空気を作り出す。鮮やかなライトを浴びながら小山田は歌詞を噛み締めるように歌い、その声をシンプルで力強いアンサンブルと観客の温かなハンドクラップが支える。

小山田は「ありがとうandymoriです。今、たくさんの人に感謝してます」と述べると「andymoriは檀上尚居さんっていう人に感謝してます。ドラマーの後藤大樹に感謝してます。みんな大好きだよ」と自分たちを支えてきた人たちへの思いを明かす。そして「路上のフォークシンガー」の肩の力が抜けたセッションを経て、「革命」からボルテージの高いナンバーを2連発で投下する。小山田がまくしたてるように歌い、それに追いつけ追い越せと藤原寛(B)と岡山健二(Dr)がリズムを刻んだ「everything is my guitar」、3人のラフなセッションで魅せる「MONEY MONEY MONEY」。彼らは涼しくなった湖畔の気温を上昇させ、ひたすらグッドメロディを聴かせる「Life Is Party」では、小山田と藤原が向かい合いながらプレイ。スクリーンに映し出されるその後ろ姿は、頼もしく、同時にほのかに寂しさを漂わせていた。

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本編も終盤というとき、小山田は暗くなったステージでギターを爪弾きながら「16」を情感たっぷりに歌い上げる。曲が終わると静寂が訪れ、一瞬の間を置いて軽やかなギターのカッティングが響きだす。そして始まったのは「空は藍色」だった。力強く優しいバンドサウンドが空高く広がり、深い余韻が残る中、小山田の「ありがとう」という言葉をもってライブ本編は終わりを告げた。

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アンコールに応えて再登場した3人は、別れの挨拶代わりとでも言うかのように「おいでよ」を皮切りに、「FOLLOW ME」「すごい速さ」などを性急に畳み掛けていく。激しく音をぶつけ合う3人だが、アンサンブルのバランスは崩れることなく、その音がメンバーの絆の深さを証明しているようだった。そして小山田がハンドマイクで歌い出した「愛してやまない音楽を」では、3人の美しいハーモニーが高らかに響き、観客を巻き込みながら美しく感動的な空間を描き出した。

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しかし時間はあっという間に過ぎ、ライブはクライマックスへ。終わりの訪れを誰もが感じたとき、小山田が両脇を見やり、唐突に「寛、健二、もう1回ライブやろう!」と言い放つ。続けて藤原がはにかみながら「やろう」と返すと、まさかの展開に観客も驚喜の声をあげた。さらに小山田は「今日はいい夜でした」と笑うと、今日のために作ったという「それでも夜は星を連れて」をプレゼントした。そして3人がアンコールの最後に鳴らしたのは、デビュー作「アンディとロックとベンガルトラとウィスキー」の最後に収録されている「ベンガルトラとウィスキー」。3人は、1時間強で全19曲を届ける過剰とも言えるサービス精神を発揮し、さらにはまさかの解散延期という彼ららしいサプライズで「SWEET LOVE SHOWER 2014」の初日を締めくくった。

セットリスト

01. グロリアス軽トラ
02. 投げKISSをあげるよ
03. Peace
04. 1984
05. 路上のフォークシンガー
06. 革命
07. everything is my guitar
08. MONEY MONEY MONEY
09. Life Is Party
10. Sunrise & Sunset
11. 16
12. 空は藍色
<アンコール>
13. おいでよ
14. FOLLOW ME
15. すごい速さ
16. 愛してやまない音楽を
17. ユートピア
18. それでも夜は星を連れて
19. ベンガルトラとウィスキー

サカナクション

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Mt.FUJI STAGEで超満員のオーディエンスが待機する中、サカナクションは同ステージの初日最後のアクトとして現れた。冒頭の「Ame(B) -SAKANATRIBE MIX-」から、彼ら独自の先鋭的なライブが展開される。多量のレーザー、鮮やかな照明、ズシンと腹に来る重低音の効いたトラック、山口一郎(Vo, G)による「SWEET LOVE SHOWER サカナクション」というこの日だけのアナウンスなど、そのどれもが観る者を高揚させていく。

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山口をはじめ岩寺基晴(G)、江島啓一(Dr)、岡崎英美(Key)、草刈愛美(B)は横並びになってラップトップで「Ame(B)〜」をプレイしたあと、2曲目の「ミュージック」からそれぞれの楽器で演奏。バンドスタイルになった途端、山口は歌で感情を爆発させながら「アルクアラウンド」「夜の踊り子」と人気ナンバーを畳みかける。その盛り上がりはとどまることを知らず、「アイデンティティ」というもはや説明不要のキラーチューンも投下。Mt.FUJI STAGEはサカナクションの魔法によって歓喜のダンス空間と化す。

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次の「ルーキー」では再びレーザーが飛び交い、レーザー光線の軌道に雨粒が映り込んでなんとも幻想的な風景となった。山口は「雨だー!!」と叫び、オーディエンスとともにこの状況を最高に楽しんでいる様子だ。2008年以来7年連続で「SWEET LOVE SHOWER」に出演しているサカナクション。彼らだからできるMCなしの名曲尽くしのパフォーマンスは、「Aoi」でクライマックスを迎えた。

セットリスト

01. Ame(B) -SAKANATRIBE MIX-
02. ミュージック
03. アルクアラウンド
04. 夜の踊り子
05. アイデンティティ
06. ルーキー
07. Aoi

キュウソネコカミ

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サウンドチェックのためにキュウソネコカミがステージに姿を現すと、すでに大盛況のFOREST STAGEの客席からは大歓声が上がり、ヤマサキセイヤ(Vo, G)が「今(隣のLAKESTAGEで)矢沢永吉演奏中だから、あんまり音出せねえけど! ロック界の重鎮、矢沢永吉に牙を剥くことはできねえ!」と観客の笑いを誘う。音が出せるようになるとバンドは「サブカル女子」を投下し、客席はサウンドチェックとは思えない盛り上がりを見せた。

メンバーが一度ステージから捌け、ミュージックステーションのテーマに乗って再度登場すると、ヤマサキは黄色いビート板"筋斗雲"に乗って観客の上へ。「これ以上進んだら俺出禁になるから! これ以上はストップだぞ!」と客を制し、ステージに戻ると「良いDJ」でライブ"本編"をスタートさせた。のっけからハイテンションな彼らはダンサブルな「KMDT25」の間奏で盆踊り調のリズムに合わせて、"キュウソネコカミ流"サークルの作り方を伝授。フィールドを十分に踊らせたのち、特徴的なシンセサウンドから「ファントムヴァイブレーション」へとなだれ込み、さらにオーディエンスを熱狂させる。

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「DQNなりたい、40代で死にたい」では「ヤンキーこわい」のコール&レスポンスを実施。曲中ヤマサキは「サカナクションとかぶせたスペースシャワー! 頭おかしいんか―! だからな、サカナクションの一郎さんを驚かせたいんや! サカナのステージはどこや! あっち向け―!」とMt.FUJI STAGEを指差すと、「ヤンキーこわい」「一郎!」というメッセージを観客とともにサカナクションのステージへと届けた。

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「ウィーワーインディーズバンド!!」でラストスパートをかけると、そのまま演奏は「ビビった」へと突入。オーディエンスは最後の力を振り絞るように踊り狂い、キュウソネコカミとともにフィニッシュを迎えた。そしてバンドは「マジでアンコールないからはよ行け! 俺らも行くから! ダッシュでandymori行け!」と観客を促し、1日目のFOREST STAGEのラストアクトを全うした。

セットリスト

01. 良いDJ
02. KMDT25
03. ファントムヴァイブレーション
04. DQNなりたい、40代で死にたい
05. 就活就活
06. ウィーワーインディーズバンド!!
07. ビビった

矢沢永吉

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「SWEET LOVE SHOWER」初参加となる矢沢永吉がLAKESIDE STAGEに登場。白いスーツ姿でステージに現れるなり派手なアクションで観客を煽った矢沢は、ミディアムテンポの「JEALOUSY」からゴキゲンなショータイムをスタートさせた。

ベテランが見せる貫禄のステージングと艶のあるボーカルに、集まった若いオーディエンスも拳を上げて熱狂する。そしてホーン隊が合流しての2曲目は、小雨降りしきるシチュエーションにぴったりの「レイニー・ウェイ」。「どしゃ降りずぶ濡れ」「雨よ降れ」と歌うこの曲のあまりのハマりっぷりにフィールドからは感嘆の声が漏れ、直後のMCでは矢沢も「この夏のフェス、ずっと雨です(笑)。今の『レイニー・ウェイ』って曲がヤバいんじゃない?って話してたんだけど、でも夏の雨は気分いいね」と話して観客を沸かせた。

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続く「YES MY LOVE」で会場がしっとりとしたムードで包まれた直後、激しいビートで雰囲気は一変。矢沢は「黒く塗りつぶせ」でドライブ感に満ちたロックンロールを見せつけ、「止まらないHa〜Ha」では無数のタオルが宙を舞う。そしてステージ脇に火柱が上がるド派手な演出を受けて、矢沢は10名の女性ダンサーを従え、炎よりも熱いロックナンバーを披露した。

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そして迎えたラストはドラマチックなバラード曲「いつの日か」。矢沢はピアノの音色に導かれる中、「今日で夏が終わるんだなって感じだね」とその思いを伝え、美しいメロディを届けてステージをあとにした。

セットリスト

01. JEALOUSY
02. レイニー・ウェイ
03. YES MY LOVE
04. 黒く塗りつぶせ
05. 止まらないHa〜Ha
06. サイコーなRock You!
07. いつの日か

back number

サウンドチェック後、「よろしくねー!」と観客にフレンドリーに挨拶し、初の「SWEET LOVE SHOWER」の舞台に臨んだback number。ステージに登場した清水依与吏(Vo, G)は「雨吹っ飛ばそうか。いくぞー!」と叫び、青臭くエモーショナルな「青い春」で観客の体と心を温めていく。2曲目の「MOTTO」でロックモードにシフトした彼らは、骨太なサウンドで激しい一面をあらわにする。栗原寿(Dr)の刻むタイトなリズムを支えに、清水と小島和也(B, Cho)は奔放に動き回り、オーディエンスを視覚的にも惹き付けていった。

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最初のMCで清水は「ちょっと......『SWEET LOVE SHOWER』強めかもしれない。ちょっと弱めで......」と雨に濡れた観客を気遣う場面も。清水がユーモアを交えたトークでオーディエンスを和ませたあと、バンドはハートウォーミングなラブソング「繋いだ手から」でフィールドを包み込む。その後は、一転して聴く者のヒリヒリとした感情を呼び起こすシリアスな「bird's sorrow」、ダンサブルな四つ打ちサウンドにコミカルな歌詞が乗る「高嶺の花子さん」などさまざまなタイプの曲を連続投下。楽曲ごとに異なる物語を紡ぎ出すback numberの音世界に、オーディエンスは酔いしれた。

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ラストを飾ったのは彼らの真骨頂とも言える"未練ソング"「スーパースターになったら」。骨太なサウンドと、男のリアルな心情を歌ったナンバーが、雨の止んだ湖畔に爽快に響きわたった。

セットリスト

01. 青い春
02. MOTTO
03. 003
04. 繋いだ手から
05. bird's sorrow
06. 高嶺の花子さん
07. スーパースターになったら